デジタルアーカイブ・プロジェクトについて

このウェブサイトの公開のほか、研究プロジェクトのもう一つの主な目的は、1925年から1945年の近代史における子供時代や教育と若者というトピックに特化した教材や研究に役立つデジタルアーカイブを構築することである。デジタル化とインターネットというテクノロジーの進歩を利用したこのアーカイブは、マンチェスター大学図書館が収蔵する。

アーカイブは二部構成で、1945年以前に子供時代、教育、もしくは青年時代を体験した日本人を対象にインタビューして得たオーラル・ヒストリーの記録と、同時代の日本の子供や若者ら自身が作成したもの、もしくは彼らの生活を描いたものをデジタル化した文書(日記や雑誌、絵、写真、および手紙など)のコレクションとから成る。

2016年初頭現在、オーラル・ヒストリーに関しては、2011年から2015年にかけて行われたおよそ100本のインタビューの音声記録がアーカイブに所蔵されている。大半が二度聞き取りを行ったもので、日英両言語で各インタビューの要約が提供されており、インタビューの一部を書き起したものもある。インタビュー協力者本人の希望により、パスワードで保護されているものとそうでないものがある。パスワード保護されている音声記録のアクセス方法については、マンチェスター大学図書館のウェブサイトの説明を参照。

デジタルアーカイブは、以下のマンチェスター大学図書館のウェブサイトからアクセス。https://www.escholar.manchester.ac.uk/jrul/search/?search=%22Oral%20History%20Archive%20of%20Childhood%2C%20Education%2C%20and%20Youth%20in%20Pre-1945%20Japan%22

本プロジェクト計画当初は、(英国図書館録音資料室のような)日本のオーラル・ヒストリーの録音資料にある既存のインタビュー記録にアクセスし、もしくはそれを保存することを目的としていた。しかし、資金等の諸事情により、そのようなオーラル・ヒストリーのアーカイブが存在しないことが判明した。幸い、インターネットを使えば、オーラル・ヒストリーのアーカイブに世界各国からアクセスできるので、然るべき使用許可等を得た上で、オーラル・ヒストリーのインタビュー資料の追加やマンチェスター大学図書館員の作業への資金的支援などにおいて、各地の研究者との協力を是非検討していきたいと考える。1945年以前の日本を経験した人口の減少は不可避であり、本研究は緊急を要する。

同様に、この分野の研究や指導に重要なデジタル化したドキュメンタリー資料を更に取り入れていく計画であり、その実現に向けて各研究者との協力を前向きに検討したい。オーラル・ヒストリーの音声記録と同じく、適切な使用許可と資金援助が必要で、将来的にアーカイブすべき数々の内容豊かなドキュメンタリー資料のコレクションが残っている。